p4c(=philosophy for children)スケッチ

p4c(=philosophy for children こどものための哲学)に取り組む「アトリエ はちみつ堂」の活動を通じて考えたことを記録していきます。

感動

ヴァレリー( http://amzn.asia/9Mh0ztb  )を読んでいる。その中で、ある詩人と最後に交わした言葉を振り返るシーンがある。

例年より早めに到来した夏が黄金色に染め始めていた平原を、わたしに指さした。<見てごらん、あれは、秋のシンバルが大地に打ち下ろす最初の一撃なんだよ>と彼は言った。

思い出を振り返りながらヴァレリーは最後の一文をこう締めくくる。
秋がきたとき、彼はもういなかった。
達人たちの美しいやり取りだ。言われなければ全くつながりを見出せないような言葉だが、いざ並べられると納得してしまうところが達人の所以だと思う。単なる過剰や、奇をてらった装飾とは似て非なるものだ。
 
 
最近、「p4cノート」というのを作って子どもと交換日記のような取組を始めた。最初のやり取りでは自己紹介を書いてもらった。紹介文の中にこんな部分があった。
自分の心は弱いです。ただ、最近は弱い心を受け入れるようにしています。なぜなら、弱い心は受け入れてもらえなくて暴れているのだと思ったからです。 
ヴァレリーマラルメと10才の男の子。みな、忙しさに追われて同じ言葉の繰り返しになりがちな日々に、風穴の開くような感動をもたらしてくれる。