p4c(=philosophy for children)スケッチ

p4c(=philosophy for children こどものための哲学)に取り組む「アトリエ はちみつ堂」の活動を通じて考えたことを記録していきます。

何かに失敗して、後悔で一杯になっている時は、周りの声がどんどん聞こえなくなっていって、自分1人の考えに閉じこもっていくような状態になる。また、そういう時は、閉じこもっている自分に気づいていない。

 

周りの声に耳を閉ざしている人は、本人は気づいていなくても周りからだと一目瞭然である場合が多い。言葉を交わしていても上の空で、返事にも感情がこもっていない。こちらの言葉が受け入れられていない。

 

昨日高石さんの講座に参加した自分は、まさにそのような状態だった。自分が上手くいかなかったp4cの経験を思い出して、どうすれば良かったかを話した。相手が色々と質問をしてくれているのに、その言葉には耳を傾けず、ただ「上手くいかなかった」という後悔に浸っていた。何度か「具体的にはどんな場面だったんですか?」と聞かれて、ようやく実際の場面を振り返りながら話せるようになった。

 

実際の場面を振り返ることができた時、自分が考えていたのは失敗の場面ではなく、もっと違う、妄想の世界だったと気づいた。自分1人の考えに閉じこもっていて、現実について考えている振りをした現実逃避だった。もしここで逃避だと自覚できずにいたら、同じ失敗を繰り返していたと思う。

 

失敗した時、次はもっと上手くやりたいと思う。そのためには失敗した記憶の中に入っていって、誤った選択をした自分と向き合い、他にどんな選択があったかを考える必要がある。考えるというより、その時の緊張や感情を思い出して、他に違った方法が浮かんでくるのを待つと言った方がよい。

 

p4cをしている時も、終わった後に振り返る時も、いつでも必要になるのは「耳」だと思う。目の前で話している相手の声に耳を澄ませる。相手の声に反応して、自分の中に浮かんでくる声に耳を澄ませる。振り返りの時間は、自分1人でやろうとしない。あの先輩だったらどう言うだろうか、あの先生だったらどうか、と他人の声を聞こうとしてみる。

 

耳がふさがっているときに、聞こえた気になっている声というのはなんだろう。後悔や失敗から逃れたいと思って生み出された、幻聴のようなものだろうか。