p4c(=philosophy for children)スケッチ

p4c(=philosophy for children こどものための哲学)に取り組む「アトリエ はちみつ堂」の活動を通じて考えたことを記録していきます。

先生

学生の頃、目標とする人が昔、ほぼ毎日ブログを更新していた。最近読んだ本、人間関係、食べに行った店の料理、街で出会った嫌な人、あらゆる話題について書かれていた。

 

ある時、ぱたりとブログの更新が止んで、しばらくして本を書いていると知った。出版された本を読んで、どうしてもその人に会いたいと思うようになって、ワークショップに参加した。会ってみると、本以上の凄みに圧倒されてしまった。自分の足りない部分をこの人は知っていると思った。

 

誰かから学ぼうとするときは、相手の教えを素直に受け取ろうとする気持ちが自然と生まれるものだ。しかし、それと同時に「自分がこれだけ素直に教わろうと思っているのだから、その気持ちを裏切るようなことは絶対にしてほしくない」と思う気持ちがどこかにある。それは、自分が師と認めた相手を評価するような考えで、弟子としては失格だ

 

先生の一挙手一投足を眺める自分の視線には、「もし、自分の思う先生としての姿を裏切るような動きをしたら絶対に許さない」という思いが含まれている。発する言葉1つ1つに対しても同じだ。落胆させられるような言葉をこの人が言うはずがない、という期待と、その期待を裏切らないでほしいという恐れがあるからだろう。

 

先生からすれば、勝手極まりない弟子の過剰な思い込みでしかない。

 

しかし、そうやって先生のそばにいると、落胆するどころか、自分が勝手に作り上げた先生を遥かに超えていくような動き、言葉に次々と出会う。 もし、落胆してしまうような場面に出会ったときは、先生のもとを去る時なのだと思う。